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◎神奈川県育成会地域集会 in えびな

「妹が僕に映画をつくらせた」
映画「ちづる」の上映と赤﨑正和監督講演

障がい者を題材にした映画は今まで数多くありますが、自閉症の妹を兄が監督撮影したドキュメンタリー映画は初めてです。
卒業制作として作られ、ひときわ注目を集めた作品であることから、当日は300名定員のホールがいっぱいになる盛況ぶりでした。
画面に映し出された千鶴さんは、自閉症特有のこだわりや、悩みがみてとれるものの、そのキャラクターはとても愛らしく、一個人としての存在は魅力にあふれています。
自分の髪を誰が切るかで母と押し問答をし、百円玉を製造年毎に整理する。母の財布から黙ってお札を取り、母は取っ組み合いまでして「いけないこと」を教えようとする。障がい者の親であれば、家庭での自分の姿を見ているようで、共感し涙する場面もたくさんありました。
この映画はちづるさんをテーマにしたというより、ぢづるさんと家族の日常を描いたものになっています。そういった意味で母親の存在は大きく、ありのままの姿を公開した母親久美さんの勇気には頭が下がります。自閉症という障がいを知ってもらうだけではなく、自閉症の子供を抱えた家族の悩みや苦労、感動、喜びまで、世間の理解を得るためにも、出来るだけ多くの方にこの映画を見ていただきたいと思いました。

また、上映後の赤﨑さんの講演では兄弟としての思いが語られ、映画と同じくらい会場の皆さんの心を惹きつけているようでした。

親しい友人にも家族のことを言えなかった。自分が障がい者の兄弟であることをカミングアウトすることで人と裸になって向き合えるようになりたい。また、妹の持つ独特な魅力、ありのままの姿を伝えたい。

障害がある人の兄弟の悩みや心の声は、身近な親でも気付かない場合が多いようです。その上、親とは違い、公の場で話題にする機会も少ないはずです。今後、障がいのある人の兄弟の心の負担を軽くするような取り組みも必要なのでは?と痛感しました。